県生協連からのお知らせ

2017年度千葉県生協連政策検討会が開催されました

 12月7日、京葉文化プラザ会議室で、千葉県生協連政策検討会が開催され、8会員生協と事務局、日本生協連関係者などを合わせて56名が参加しました。今年度の政策検討会は「人と人をつなげる地域づくり」をテーマに以下のプログラムで開催されました。

プログラム

講演
『人と人のつながりを広げる地域づくり:人間の「幸せ装置」と地域の力』
 
講師 茨城県生涯学習・社会教育研究会会長 長谷川幸介氏
事例報告
東千葉住宅「和・輪・環の会」事務局 村井早苗氏
 
東千葉住宅で地域と大学と行政がパートナーシップを組んで
 
取り組んでいる「和・輪・環の会」の事例報告

会員生協事例報告

パルシステム千葉 福祉政策担当課長 木村友秀さん
コープみらい 組合員理事 本間清子さん
生活クラブ生協 理事 山本百合さん
なのはな生協 副理事長 涌井修さん
高齢者生協 代表理事 西脇悦子さん

パネルディスカッション 会場意見交換

閉会

講演:『人と人のつながりを広げる地域づくり:人間の「幸せ装置」と地域の力』

茨城県生涯学習・社会教育研究会会長
長谷川幸介氏
絵本朗読
長谷川鈴子氏

 「人は独りでは生きられないんです。」人は生まれた時から、ひとりでは生きられないから、幸せになるために社会という装置をつくったんです。問題がおきて、何か解決しなくていけない時にセーフティーネットという網があって一人ぼっちの人を作らないようにしてきました。この網は住んでいる地域ごとに作ってきたものですが、今、この網にほころびがうまれています。人間がこれまでつくってきた社会という幸せ装置がこわれてきているんです。

 ひとつひとつの網の目をつないでいるのは、血縁・地縁・友縁・職縁という4つの縁です。この4つの縁(えにし)のつながりの中でいろんな社会の問題を解決してきました。ところが、このひとつずつの縁が小さくなってきて、ひとがひとりぼっちになってしまう無縁社会が広がってきているんです。そうならないための新しいネットワークづくりが必要になってきています。住んでいる地域の幸せのつくり方は、地域それぞれです。地縁と生協の取り組みがつながる支縁社会をどう作っていくのかが生協の課題です。幸せ装置のほころびをみつけて、繕って、新しい網=幸せ装置をつくっていくんです。

 子どもたちが社会に巣立っていくためには、子どもたちにいろんなものを手渡していくことが大切です。学校で答えを教えることができないことをさまざまな人がいる地域の中で教えて社会力をつけてあげるには人と人とのつながりが大切なんです。変わってきた社会の中で、社会のつながりをどうつくっていくのが生協の役割りなんです。

 奥様の長谷川鈴子さんの「わたしのひろがり」「らいふ」の絵本の朗読では、人生の悲しみが人のつながりで生きる力・楽しさにかわるというメッセージもいただきました。

 そして、たまり場を地域のプラットフォームとして、次の世代に渡せる幸せの形を自分たちの力でつくっていくためにみんなで頑張っていくんですと生協へのエールをいただき、ユーモアにあふれ、参加者の笑顔とうなずきがいっぱいの講演となりました。

「和・輪・環の会」の事例報告

事務局 村井早苗氏

 地域住民、千葉市、千葉大学と連携して地域づくりをすすめている東千葉地域の「和・輪・環の会」の事例を報告いただきました。「住みなれた地域で最後までくらし続けたい」そのためには、どんな地域だったら安心して暮らせるのか。

 地域の方にアンケートをとることから始めました。地域でどう暮らしていきたいのか、みんなで出し合って、ワークショップを重ね、あったらいいな、やれたらいいなというものから8つのプロジェクトがうまれました。気軽に挨拶できる街づくりでは、小中学生の力もかりながら、挨拶をはじめました。縁側サロンや、お国自慢がのった機関紙づくり、若者世代との交流から、ワンストップで困り事を相談できる窓口の設置などにつながっています。

 その中から、「介護予防」「もめごと予防」「きずな貯金」「あんしん貯金」が地域で自分たちでできるテーマとしてみえてきました。

 活動が進んでいる理由として、出入り自由な緩やかな活動であること、課題の共有と実践を一緒にすすめてきたこと、大学や自治体と一緒にやることで安心感がうまれたこと、取り組みの情報を住民に知らせてきたことなどを報告いただきました。

会員生協からの報告とパネルディスカッション

 会員生協からの報告ではパルシステム千葉、コープみらい、生活クラブ生協、なのはな生協、高齢者生協の5つの地域生協から、自治体と連携した地域づくり、地域づくりで大切にしていること、子ども食堂設立の経緯、居場所・たまり場づくりについて報告がありました。報告のあと、長谷川先生、村井氏への質問とアドバイスがあり、会場を含めての意見交換を行いました。

 「地域住民、男性が参加しやすい場をどのようにつくっていくか」については、地域でつながりたいと思っている方がきてくれているので、ワイワイガヤガヤやりながら居心地の良さをつくることが大切ではないか、その中から企画や実践などの得意分野に関わってくれる人がそれぞれの場面にでてくれるようになると思う。

 「市民協働をどのようにすすめていけばよいのか」という課題については、地域づくりについて行政と一緒に進める歴史は浅く、このような場で意見交換を重ねながら経験を積んでいくのがよいのではないかとのアドバイスがありました。

 「地域の課題について」は自分自身が地域の住民として、どんな地域に住みたいのかを描いて、他の人はどんなふうに思っているのだろうと考えることが大切で、課題を把握するというよりは、地域の人が思っていることを「知る」のが大切と思うなどの意見交換がされました。

 最後に生協への期待として、村井さんからは「組合員の取り組みの視野を広げ、地域の活動に皆さんのノウハウを活かしてほしい。」

 長谷川先生からは、「私らしく生きていくために、食材やたまり場を通して、いろんな組合員がいること、そのことによるちがいをいかしあっていくことがつながりの本質であり、生協は私が私らしく生きていくために、どういう幸せをつくっていくのか、課題を発見して解決していってほしい。」という期待をいただきました。

 感想には「いつもとちがう視点での地域のつながりを考えてほしい」「皆が主役であり必要とされている実感のあるつながりを作っていきたい」「地域の中でどのように活動するかということでは、自分ごととしてとらえることが大切だと思いました」などの声が数多く寄せられました。

(文責は事務局です)


講師 長谷川幸介氏


長谷川鈴子氏(絵本朗読)


報告 村井早苗氏

パネルディスカッションの様子

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