2016年度千葉県生協連政策検討会が開催されました
12月8日、京葉銀行文化プラザ会議室で、千葉県生協連2016年度政策検討会が開催され、7会員生協と県連事務局、日本生協連関係者などを合わせて60名が参加しました。今年度の政策検討会は、「子ども、若者をめぐる状況と生協の役割りについて」をテーマに、以下のプログラムで開催されました。
- 10:00~10:10
- 開会、会長理事あいさつ
- 10:10~11:30
- 講演「子ども、若者をめぐる状況と生協に期待される役割りについて」
- 講師 宮本みち子 氏(放送大学副学長・教授、千葉大学名誉教授)
- 11:30~11:40
- 休 憩
- 11:40~12:10
- 報告「子どもの貧困に関する研究会の検討内容について」
- 報告 日本生協連組合員活動部 山田 浩史 氏
- 12:10~12:50
- 昼食および休憩
- 12:50~14:25
- 会員生協からの報告と意見交換
- パネルディスカッション方式で、会員生協から子育て支援など子供に関する取り組み、子供をとおした地域との関わりなどについて報告いただき、質疑を含めて意見交換をおこないました。講師の宮本先生、日本生協連の山田氏に助言者として参加していただきました。会員生協の報告者は以下のとおりです。
- パルシステム千葉組合員活動推進部長 荷見 太郎さん
- コープみらい組合員理事 世良 仁美さん
- 生活クラブ生協理事 山本 百合さん
- なのはな生協理事 柴田 都さん
- 14:25~14:30
- 閉 会
それぞれの内容の要旨は以下のとおりです。(文責は全て事務局)
◎宮本みち子先生の講演要旨
宮本先生は、子どもを含めた日本の貧困問題が「相対的貧困」問題であることから顕在化しにくく、国などの調査も不十分だったことに触れながら、子ども・若者・母子家庭などの貧困の現実について話をされました。特に、学力によって分かれる高校で様々な問題が出てくること、女性の貧困問題が深刻になっていることなどの多くの実例が紹介されました。
貧困問題の社会的な背景、貧困の連鎖となぜ貧困から抜け出せないのか、複合的リスクを抱える若者などの問題などについて話した後、今後に向けた対策の例として、ご自身が関わった東京都足立区の子どもの貧困対策事業について話をされました。
足立区では、区立の小学校1年生全員を対象に、今まで踏み込めなかった内容におよぶ調査をおこなって対策をすすめています。「子どもの逆境を乗り越える力をどうつけていくか」、「保護者に相談相手がいることが大切」、「子どもを取り巻く家庭環境や生活習慣を変えていく」などを柱に様々な対策事業をおこなっていることが紹介され、今後の生協の取り組みにとっても大変に参考になる内容でした。
◎日本生協連組合員活動部山田氏の報告要旨
山田氏は、日本生協連に「子どもの貧困」に関する研究会が設置された経緯と現在までの検討内容について、地域で支援を考える際のポイント、なぜ生協が取り組むのか、生協が果たせる役割りとは、などについて報告されました。続いて、日本生協連がおこなった実態調査にもとづいて、フードバンクに関する取り組み、子ども食堂に関する取り組み、学習支援の場の提供、子どもの居場所・コミュニティづくりなど、全国の生協の事例を紹介していただきました。
◎会員生協からの報告と意見交換
会員生協からの報告と意見交換では、パルシステム千葉・コープみらい・生活クラブ生協・なのはな生協の4つの地域生協から、子育て支援など子供に関する取り組み、子供をとおした地域との関わりなどについて報告をいただきました。報告と合わせて、宮本先生、山田氏への質問とアドバイスをいただきたいことなどが出され、両氏から丁寧な回答とアドバイスがあり、会場を含めて意見交換がおこなわれました。主な内容は以下のとおりです。
「子ども食堂など子どもの貧困に関するニーズをどんな方法で把握するか」という課題については、生協単独では難しい面もあり、地域の社協・行政機関・民生委員・NPOなど多くの人たちと連携していくことの重要性が出されました。地域における実際の取り組みでも、こうした連携、協力が大切であることを指摘する発言が多くありました。
「高校生や若者に対して生協として何ができるか」という課題については、職業体験などの自立支援、「中間的就労」への協力などが出されました。母子家庭など困難を抱えた女性への雇用の提供についても指摘がされました。
「取り組みをすすめる場で納得できる合意形成をどう作っていくのか」という課題では、活動をすすめるリーダーの育成を重視し資質を高めていくこと、必要に応じて事前の打ち合わせや振り返りなどを丹念におこなうことが大切、などの意見がありました。
「学校など教育の現場とどう連携していくか」という課題では、学校ではなかなかできない、ひとりひとりの子どもに寄り添うような支援の取り組みが求められている、といった意見が出されました。
「気軽に参加できる子ども食堂などの居場所や支援の場を常時確保していくには」という課題では、常設の場を作っている事例の紹介や、高齢者のサロンを含めて多くの場をネットワークで結んでいくことなどの意見が出されました。
最後に宮本先生は、ご自身が関わった生協総研の「2050年超高齢社会のコミュニティ構想」にも触れながら、生協が大きな可能性を秘めていることを考え、高い志をもってこうした課題に取り組んでほしい、と激励を込めた発言をされました。
参加者からは、実態をもっと学習し、周りの人たちと話し合い、本日の内容を生かして、できるところから取り組みをすすめていきたいといった感想が数多く寄せられました。
政策検討会
講師 宮本みち子 氏
報告 山田浩史 氏
各生協から報告と意見交換会