県生協連からのお知らせ

2016年度 消費者フォーラムin千葉 ~高齢社会をどう生きる!!~

 5月25日(水)、千葉市文化センターアートホールにて「消費者フォーラムin千葉」が開催され、全体で334名、生協からも多くの組合員が参加しました。多様化する経済社会の中で消費者一人ひとりがより良い消費生活を送れるように消費者教育及び啓発の推進と、消費者団体の活動成果の発表を通して、団体相互の交流と連携を図ることを目的に、消費者庁が呼び掛けている消費者月間の千葉県における取り組みとして開催されたものです。今年度の消費者月間統一テーマは「みんなの強みを活かせ ~安全・安心な社会に一億総活躍~」です。

 「消費者フォーラムin千葉」は、千葉県と県内17の消費者団体等で構成する実行委員会との共催で毎年開催されており、準備は2月からすすめてきました。実行委員会には、コープみらい、消費者行政充実ネットちば、千葉県生協連が参加して、他の実行委員団体と共に準備や当日の参加、運営に協力しました。今年度は「高齢社会をどう生きる!!」をテーマに開催しました。

 始めに、千葉県から環境生活部生活安全・有害鳥獣担当部長の玉田浩一氏が、実行委員会から消費者団体千葉県連絡会事務局長の小田川実行委員長が主催者あいさつをおこないました。小田川実行委員長のあいさつの要旨は以下のとおりです。

 「今年の消費者フォーラムは、実行委員会での協議の結果、『高齢社会をどう生きる!!』と題し、高齢社会が抱える様々な課題を会場の皆様とともに考えたいと思います。

 千葉県の年齢別調査では、平成27年4月現在、65歳以上の老年人口は154万7千人となり、人口に占める割合は24、7%となりました。平成26年10月の総務省の発表でも、65歳以上の人口が14歳以下の年少人口の2倍を超えています。

 人は誰も年を重ね、いずれ老いていきます。それは、誰も避けて通るわけにはいきません。高齢期をどのように迎え生きていくのか、社会制度や地域とのかかわりにどう取り組むのか、高齢者だけでなく、すべての年代そして地域全体で取り組みたいテーマです。

 介護保険制度に「新しい総合事業」が創設されました。高齢者の消費者被害も増加しています。制度による福祉と、私たちが主体的にかかわる福祉や見守り活動を統合させた、新しい福祉観をご一緒に考えてみませんか。」

第1部 基調講演:「私たちが主体の地域づくり」 講師:山下 興一郎 氏

 第1部は、基調講演「私たちが主体の地域づくり」と題して、淑徳大学総合福祉学部准教授 山下興一郎氏よりご講演いただきました。講演の要旨は以下のとおりです。(文責は事務局)

 「福祉の充実とは、障がいがある人も、ない人も、誰もがふだんのくらしができることです。介護が必要な高齢者や認知症のひとが増えたことで介護保険制度がスタートしました。  現在の制度のもとでは、特別養護老人ホームは高齢者の認知症が、ほとんどです。この特別養護老人ホームに入所するためには、契約が必要です。このように福祉の場面でも高齢化と消費者問題を考えるためには、「情報の非対称性(事業者と消費者の情報量の違いがある)」と認知症の場合の「判断能力の不十分性」があることを認識しておきたいです。一人暮らしの高齢者への訪問販売は、高齢者と販売者の関係性で売っています。一人暮らしの高齢者にとっては、販売者は話をよく聞いてくれる、優しい人になっているので、高額な商品も買ってしまうのです。

 1960年と2014年の日本を数字で比較すると明らかな変化がわかります。高齢化率が高まり、平均寿命が伸びて、100歳以上の人口が増加しました。子との同居率は逆に減少し79.9%から43.2%に、介護施設への入居は、大幅に増加しました。

 学生の高齢者観を聞いてみると、頑張って生活してきた年代、余生は楽しく生きてほしい、と観ていますが、9割の学生は老人にはなりたくないと思っています。そう思われないようにするためには、高齢者自身が楽しく生きていくしかありません。

 高齢者の生活とは『高齢者は不安と葛藤のなかで生きている』と言われますが、解決のためには、自分で決めて生きていくことです。身近な人・地域のグループにかかわることも大事です。私たちが主体の地域づくりとは、私たちだけがつくるのではなく、行政の支援もあり、住民の助け合いもある、地域一体となって生きていくことです。」

 会場を埋めた参加者と先生とのやりとりもあり、出された質問に答えたり、身近な問題と捉えるなど、大変有意義な場となりました。

第2部 平成27年度県民提案事業の事例発表

 第2部は、テーマに沿った活動を平成27年度県民提案事業から2団体より事例発表をおこないました。

 事例発表の一つ目は、我孫子市消費者の会が「認知症でも安心して暮らせる地域を学校から作ろう」をテーマに、市内の小学校、中学校、大学に出向き、認知症について理解を深めるための授業をおこなった様子を発表しました。

 二つ目は、いちかわ市民文化ネットワークが「消費者啓発コント劇団公演事業」で「コントdeげき隊!」と題する出前劇で、認知症に対する理解と地域でのかかわりについてコントで披露し、会場からは笑いと涙、大きな拍手がありました。

 また、ロビーでは消費者団体の食品や表示、高齢者社会の問題などについての活動状況をまとめ、パネル展示しました。多くの参加者が関心を寄せて見入っていました。


講演:「私たちが主体の地域づくり」


講師:山下興一郎 氏

事例発表(左:「我孫子市消費者の会」 右:「消費者啓発コント劇団公演事業」)

パネル展示(左:消費者行政充実ネットちば 右:コープみらい)

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