2015年度 消費者フォーラムin千葉 地球との調和をめざす地域づくりを!
5月29日(金)、千葉市文化センターアートホールにて「消費者フォーラムin千葉」が開催され、全体で383名、生協からも多くの組合員が参加しました。多様化する経済社会の中で消費者一人ひとりがより良い消費生活を送れるように消費者教育及び啓発の推進と、消費者団体の活動成果の発表を通して、団体相互の交流と連携を図ることを目的に、消費者庁が呼び掛けている消費者月間の千葉県における取り組みとして開催されたものです。今年度の消費者月間統一テーマは「みんなでつくろう!消費者が主役の社会!!」です。
「消費者フォーラムin千葉」は、千葉県と県内19の消費者団体等で構成する実行委員会との共催で毎年開催されており、準備は1月からすすめてきました。実行委員会には、コープみらい、パルシステム千葉、消費者行政充実ネットちば、千葉県生協連が参加して、他の実行委員団体と共に準備や当日の参加、運営に協力しました。今年度は「地球との調和をめざす地域づくりを!」をテーマに開催しました。
始めに、千葉県から環境生活部生活安全・有害鳥獣担当部長 戸部知子氏が、実行委員会から消費者団体千葉県連絡会事務局長の小田川実行委員長が主催者あいさつをおこないました。小田川実行委員長のあいさつの要旨は以下のとおりです。
「2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、私たち消費者は、電力事情やエネルギー政策に高い関心を持つようになりました。事故後の計画停電を経験し、節電の大切さを改めて学びました。原子力発電をどうするのか、電力が温暖化ガスを多く排出する化石燃料に依存していること、自分が使うエネルギーは自由に選択できないという制度上の問題など、私たちは日々の生活の中で当たり前のように使っていた電力ですが、あまりにも人任せにしてきました。ひとりひとりが、こうした問題について考え、また、千葉県の自然や地形を活かした、再生可能エネルギーの普及が一層進み、消費者が電力を選択できる時代がくることを願っています。」
第1部は、基調講演「再生可能エネルギーを育てる 地域社会を目指して」と題して、千葉大学大学院人文社会科学研究科教授の倉阪秀史氏よりご講演いただきました。講演は、日本の現状、政府の温室効果ガス削減目標の批判的検討、環境省検討会における目標の検討、つなぎのエネルギー源、再生可能エネルギーの現状、今後の展開についてで、要旨は以下のとおりです。
「東日本大震災後の電源構成は、原子力発電所が停止しているため、火力発電の比率は大幅に上昇しています。そのため、温室効果ガスの排出量は、増加傾向にあり温暖化対策は成功したとは言えない状況にあります。温暖化によって海面が1cm上昇すると、海岸線は40m後退します。
2030年の再生可能エネルギー発電の見通しでは、『総合エネルギー調査会』と『環境省検討会』では、違いがあります。徹底した省エネ対策を実施すれば、電源構成のうち、再生可能エネルギーの比率を2013年の6%から24%に改善できます。温暖化対策目標が違う問題点として、エネルギー需要を過大見通ししていること、ベースロード電源が誤った目標値であること、再生可能エネルギーの目標がきわめて低いことがあげられます。再生可能エネルギーは気象条件などで変動しやすいので、有効活用のためには、地方における政策が不可欠であり、地域の文化・風土に合った地域主導による、地元資本で設置を進めていくことが必要です。」
会場を埋めた参加者は熱心に聞き入り、電力事情を身近に捉えることができた有意義な場となりました。
第2部は、平成26年度県民提案事業の事例発表を2団体よりおこないました。
事例発表の一つ目では、いちかわ市民文化ネットワークが「消費者啓発コント劇団公演事業」の「コントdeげき隊!」と題する出前劇を披露し、会場から多くの拍手がありました。
二つ目は、消費者行政充実ネットちば幹事の淑徳大学助教の日野勝吾さんから「高齢者向けリコール製品回収事業」の報告をおこないました。
また、ロビーでは消費者団体の環境や食品、高齢者社会の問題などについての活動状況をまとめ、パネル展示しました。多くの参加者が関心を持って、見入っていました。
講演:倉阪秀史先生
活動報告(左:「消費者啓発コント劇団公演事業」 右:「高齢者向けリコール製品回収事業」)
パネル展示(左:消費者行政充実ネットちば 中:パルシステム千葉 右:コープみらい)