~平和のための学習交流会~
「子どもたちに平和な未来を2015」を開催しました
2015年12月8日、千葉市文化センターアートホールにて「子どもたちに平和な未来を2015」を開催しました。この企画は2009年度から始まった「子どもたちに平和な未来を」の取り組みを引き継ぎ、平和の大切さと核兵器の廃絶について考え、各生協の活動を交流することを目的に開催しています。
今回は講談師の神田香織さんを講師に招き、「『はだしのゲン』を語って30年、いまふるさと福島は・・・」と題した講演と、今年4月下旬から開催された、ニューヨーク国連本部でのNPT(核不拡散条約)再検討会議の活動報告をおこないました。
講演:「『はだしのゲン』を語って30年、いまふるさと福島は・・・」
はじめに、神田さんの講演では、神田香織さんは、最初に、故郷である福島県(いわき市)での生い立ちと合わせて、東日本大震災での原発事故の深刻な状況について触れ、そうした状況が未だに続いていることを是非知ってほしいと訴えました。
女優をめざして上京しましたが福島弁でつまづき、方言を治すためと発声の訓練を兼ねて神田山陽師に師事し講談の世界に入ったこと、創作講談を演じられる身分になった時にサイパン・広島・長崎などを訪れたことがきっかけで戦争の悲惨さを知ったこと、「はだしのゲン」と原作者の中沢啓治さんと出会い自分の演題として決意していったことなどの体験を、講談とユーモアと涙を交えながら話されました。
原爆投下直後の場面を描写した「講談はだしのゲン」のさわりの部分や、同じく神田さんが創作した「講談チェルノブイリの祈り」での被ばくした消防士の夫に最後まで寄り添う妻の場面では、静まり返った会場で涙ぐむ人も見られました。
原爆や平和、原発、人権、女性の生き方などをテーマに精力的に活動している神田さんは、最後に、「過去から素直に学んでひとりひとりが声を上げていくことが、子どもたちに平和な未来を残していくために大切です」と訴え、会場からは大きな拍手が贈られました。
報告:NPT再検討会議活動報告
次に、NPT再検討会議の生協代表団の一人として参加した、コープみらい理事の大久保美紀さんと、日本原水爆被害者団体協議会の事務局として参加した、千葉県原爆被爆者友愛会の児玉三智子さんのお二人から、現地での様子を報告してもらいました。
大久保理事からは、生協代表団の役割として、①国連本部ロビーでの原爆パネル展の対応、②学校などでの被爆の証言活動の支援、③各国政府代表部への要請行動をおこなったことの報告がありました。会議で「最終文書」が採択されなかったことは、残念でしたが、被爆国である日本が、いかなる国際情勢のなかにあっても、核兵器廃絶に向けた平和への願いを決して絶やさないよう声を上げ続けなければならないと、強く感じました、と発言されました。
児玉さんからは、被爆者代表団の行動の目的として、①各国政府代表部への要請行動、②被爆の実相、証言活動、③国連での原爆展、④パレード参加をおこなったことの報告があり、アメリカの高校生が被爆体験を受けとめて核兵器の悲惨さを理解してくれたことなどを紹介しました。被爆国の私たちひとり一人が「戦争も核兵器もない世界を」と世界に向けてねばり強く発言しつづけ行動していきましょう、「子どもたちに平和な未来を」手渡すことができるよう、自分にできることで積極的に取り組んでいきましょう、と熱いメッセージがありました。
会場ロビーでは、友愛会から「人間と原爆」のパネル展示、千葉県ユニセフ協会から「ユニセフってなあに」をテーマとしたパネル展示、日本赤十字社千葉県支部から「大切なことってなんだろう?」をテーマに地雷の被害を伝えるパネルと地雷のレプリカや義足・手の展示、世界の医療団から東京プロジェクトのパネル展示などをおこない、多くの参加者が足を止め、パネルや展示品を見て説明を聞いていました。
参加者からは、「初めて講談を聞きましたが、原爆の怖さや悲劇が伝わり戦争・原爆は絶対いけないものだと感じました。『はだしのゲン』もう一度読んで平和について考えたいと思いました。」、「福島の現状は変わっていないことも良く理解できました。子どもたちが安心して暮らせるように、私もできることをしていきたい。」、「被爆者の体験を語ることは、忘れない、くり返さないために大切だと思います。ひとり一人の意識がとても大切だと思いました。」など、多くの感想がありました。
参加者は198名、多くの折り鶴が集まりました。
熱く語られる神田香織さん
参加者も熱心に耳を傾けました
NPT再検討会議の報告をする大久保美紀さん(左)と児玉三智子さん(右)
「原爆と人間」
千葉県ユニセフ協会「ユニセフってなあに」
日本赤十字社千葉県支部
世界の医療団